インフォメーション

新型コロナウイルス感染症の流行に対するICLSコース開催についての指針

令和2年6月16日

 日本救急医学会 ICLSコース企画運営委員会

1. はじめに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が小康状態となりつつありますが、その収束が見込めない中、国民にはウイルスと共存する新しい生活様式が求められています。
 そのような情勢の中、各地で徐々にICLSコースが計画されていますが、従来の形での開催では難しいと思われます。一方で参加者の多くは医療従事者であり、万が一ICLSコースを通じて感染症(感染拡大)が発生した場合、複数の医療機関、ひいては地域の医療提供体制の大きな影響を与える可能性があります。従って、コース開催に際しては、感染防止に必要な対応を確実に行う必要があります。
 当委員会では、このような状況下でICLSコースを開催するにあたっての留意点や感染対策を提示します(以下、指導者養成ワークショップも同様の対応とする)。

2. ICLSコースの開催

①ICLSコース開催の判断

 COVID-19の流行状況は、都道府県や地域ごとによって大きく異なり、その対応もそれぞれである。そのため、ICLSコース開催の判断に際しては、各地の行政の方針を十分に考慮した上で、開催施設の施設長や感染管理者らと協議し決定する必要がある。

②コース内容,資器材の見直し

 密接することは避けられないので、マスクの装着や都度の手指消毒励行などに配慮すべきである。呼気吹き込みを行う人工呼吸の練習を割愛することを考慮する。また通常のICLSコース内容に加えて、患者が新型コロナウイルス感染症の場合の心肺蘇生法における感染対策について、受講者に情報提供することも重要である。
https://www.jaam.jp/info/2020/files/info-20200318.pdf

③開催時間、開催場所、参加者数の見直し

 会場の換気を考慮する。感染が流行している地域との移動を伴わないようにする、必要最低限の人数で開催するなどの工夫をする。

3. ICLSコースの感染対策

 新型コロナウイルス感染症は、発症数日前から他者への感染リスクがあるため、有症状者だけでなく、参加者全員を対象とした総合的な対策が重要となる。

① 開催の準備

(ア) 事前の情報提供と情報収集

コースで行う感染防止対策について、全ての参加者に事前に情報提供を行う。万が一感染が発生した場合の影響も考慮し、緊急時の連絡先も含めた参加者の名簿を作成する。

(イ) 開催場所の選定

窓の開放や換気システムなど換気が行いやすく、できるだけ広いスペースの会場を選定する。コース中に食事の時間を設ける場合には、人と人の間隔を空けて食事が可能な場所を確保する。

(ウ) 感染防止用の資器材

マスクや手指消毒薬(アルコール濃度60%以上)は、参加者に持参を求める場合でも一定量を会場にも用意する。資器材の消毒を考慮する。

② 当日コース開始前

(ア) 参加者の健康状態の確認と入場制限

入場時に密にならないよう、来場者に注意を促す。会場の入口で参加者全員に体温測定、健康チェックリストの記入を求める。あらかじめ設定した基準に該当する場合などはコースへの参加辞退を依頼する。参加者全員に、マスクの着用、手指消毒を求め、実施した者だけを入場させることを原則とする。

(イ) 感染対策の説明

コース開始に当たり、コースでの感染対策について十分に説明する。

③ コース開催中

(ア) 身体的距離の確保

人と人との間隔を最低1m空けるのが望ましい。人同士の接触を極力避ける工夫を行う。

(イ) マスクの着用

コース中は常時マスク着用を基本とする。マスクを外す場合はその時間を最小限にし、休憩中の水分補給時などは会話を控える。

(ウ) 手洗い、手指消毒と使い捨て手袋着用

入退場時、食事の前後、人との直接があった場合などでは手洗いや手指消毒を行う。マネキンなどを用いた実技を行う際は、使い捨て手袋を着用することを考慮する。

(エ) 使用物品の消毒

複数人で接触して使用するような部位は可能な限り使用毎に清拭消毒する。特に高頻度接触部位(タブレット、マネキン、ドアノブなど)には注意する。

(オ) 換気への配慮

会場の出入り口のドアはできるだけ開放しておく。一定時間ごとに換気を行う。エアコンディショナーが作動していても換気は必要である。

(カ) 飲食時の注意

食事中の会話はできるだけ控える。間食の提供はできるだけ控える。

④ コース終了後

(ア) 参加者に新型コロナウイルス感染が判明した場合の対応:

コース参加後に新型コロナウイルス陽性と判明した場合には、速やかにコース主催者に連絡するように周知する。主催者は、連絡を受けた場合には当該施設および地域の対応方法に則った行動をする。参加者全員に陽性者が生じたことを伝え、濃厚接触の該当の有無などを伝える。

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