ICLSコースの概要

コースの概要

ICLSコース

医療従事者のための蘇生トレーニングコースです。心臓血管系の緊急病態のうち、特に「突然の心停止に対する最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生」を習得することを目標としています。講義はほとんど行わず、実技実習を中心としたコースです。受講者は少人数のグループに分かれて実際に即したシミュレーション実習を繰り返し、約1日をかけて蘇生のために必要な技術や蘇生現場でのチーム医療を身につけます。身につける行動の目標は以下の通りです。

■コースの一般目標

突然の心停止に対する最初の 10 分間の適切なチーム蘇生を習得する.

■コースの行動目標
  • 蘇生を始める必要性を判断でき、行動に移すことができる
  • BLS(一次救命処置)に習熟する
  • AED(自動体外式除細動器)を安全に操作できる
  • 心停止時の4つの心電図波形を評価・判断できる
  • 電気ショックの適応を判断できる
  • 電気ショックを安全かつ確実に行うことができる
  • 状況と自分の技能に応じた気道管理法を選択し実施できる
  • 気道が確実に確保できているかどうかを判断できる
  • 状況に応じて適切な薬剤を適切な方法で投与できる
  • 治療可能な心停止の原因を知り、原因検索を行うことができる

日本救急医学会では、一定の基準を満たしたコースに対して「コース認定」を行っています。

ICLSコースの認定基準

  1. 「突然の心停止に対する最初の10分間の適切なチーム蘇生を習得すること」を学習目標に含む。
  2. 実技を中心としたコースである。
  3. スキルセッションと、シナリオセッションを含む。
  4. 1グループ4~6名を標準とする(やむを得ず、規定の人数を上回る、または下回る参加者となる場合には、理由を添えて当該地区の地区担当委員へ相談する)。
  5. 認定コースディレクターがコースディレクターとなり、コースの質を保証する。
  6. 各ブースに 1名以上の認定インストラクター(ブース長)がおり、各ブースの質を保証する。
    ※1ブース開催の場合、ディレクターがブース長を兼任することが可能である。
    ※2ブース以上での開催の場合、ディレクターがブース長を兼任することはできず、各ブースにディレクターとは別の認定インストラクター(ブース長)が必要である。
  7. コース開催時間は総時間最低7時間以上とする
  8. インストラクター総数は受講者数の1.5倍を上限とする。
    (受講者数 5名の場合 5名×1.5倍=7.5名(算出結果が端数の場合は、切上げの為、8名)までとする)
  9. 1名のディレクターが担当出来るブース数は、ディレクター見習いの有無に関わらず最大6ブースとする。
    7ブース以上の場合には、別のディレクターが別にコース申請することとする。
  10. 申請内容と結果報告が大きく異なる場合には、地区委員に個別に報告することとする。

※コース申請時には受講者の公募枠を設けることが望ましい。
※ICLSコースでは使用するテキストは問わないが、「ICLSコースガイドブック」を推奨する。
※1回の開催についてディレクターは2名まで登録できる。

10 caseの内容を網羅したACLSコースも、上記の認定基準を満たしていれば、もちろんICLSコースの認定対象となります。また複数の日程にまたがる開催でも、認定基準を満たしていれば認定対象となります。

時間割例1)日本救急医学会主催ICLSコース

  グループ1 グループ2
    ~9:00 受 付
9:00~9:20 開会の言葉・ACLS概説
【 スキルセッション 】140分(正味120分)
9:30~10:10 BLS(A) BLS(B)
10:10~10:20 休 憩
10:20~11:00 モニター/電気ショック(A) 気道管理と挿管(B)
11:00~11:10 休 憩
11:10~11:50 気道管理と挿管(B) モニター/電気ショック(A)
11:50~12:40 【 昼 食 】50分
12:40~12:55 【 デ モ 】15分
【 シナリオセッション 】200分(正味160分)
13:00~(適宜 チーム蘇生BLS(意識の確認から波形宣言まで)
休憩)~14:20 輸液路確保と薬剤投与(A) 輸液路確保と薬剤投与(B)
14:20~14:30 休 憩
14:30~15:20 ALSアルゴリズム実践(A) ALSアルゴリズム実践(B)
15:20~15:30 休 憩
15:30~16:20 原因治療を含めた蘇生(B) 原因治療を含めた蘇生(A)
16:20~16:30 休 憩
【 試験 】70分
16:30~16:40 試験の説明(10分)
16:40~17:40 メガコードテスト 1人10分(計60分)
17:40~18:00 【 修了式 】

※かっこ内はブース(部屋)の名称

時間割例2)医師会コース

  グループ1 グループ2
~13:00 受 付
13:00~13:20 オリエンテーション・スタッフ自己紹介
【 スキルセッション 】190分(正味160分)
13:25~14:05 BLS-1(A) BLS-1(B)
14:05~14:15 休 憩
14:15~14:55 モニター/電気ショック(B) 気道管理と挿管(A)
14:55~15:05 休 憩
15:05~15:45 BLS-2(A) モニター/電気ショック(B)
15:45~15:55 休 憩
15:55~16:35 気道管理と挿管(A) BLS-2(B)
16:35~16:45 休 憩
16:45~17:00 【 デモ 】15分
【 シナリオセッション 】150分(正味140分)
17:00~(適宜 チーム蘇生BLS(意識の確認から波形宣言まで)
休憩)~18:10 輸液経路と薬剤投与(A) 輸液経路と薬剤投与(B)
18:10~18:20 休 憩
18:20~(適宜 ALSアルゴリズム実践(B) ALSアルゴリズム実践(A)
休憩)~19:30 原因治療を含めた蘇生(B) 原因治療を含めた蘇生(A)
19:30~19:45 受講者・スタッフ意見交換
19:45~20:00 【 修了式 】

※かっこ内はブース(部屋)の名称
※BLS-1ブースでは成人に対するCPR(含むポケットマスク)を学ぶ
※BLS-2ブースではAEDと乳児・幼児・小児に対するCPRを学ぶ

コースで学習する具体的な内容 ※OP:オプション

❶ BLS ステーション

■ 質の高い胸骨圧迫ができる
■ AED を用いて安全に電気ショックができる
■ シナリオ形式で BLS の一連の処置を実施できる
OP:BVM を用いて胸骨圧迫に換気を組合わせることができる
OP:乳児に対する CPR を実施できる

❷ 気道管理ステーション

■ 酸素投与の器具と酸素濃度について説明できる
■ BVM を用いて確実な換気ができる
■ 基本的な気道確保器具を挿入できる
■ 気管挿管後のチューブ先端位置を身体所見と器具を組合わせて確認できる
OP:気管挿管を体験する
OP:声門上気道デバイスの留置を体験する
OP:気道異物除去の手技ができる

❸ モニターステーション

■ モニター画面上で心電図波形を判断できる
■ 除細動器を用いて安全に電気ショックができる
■ 胸骨圧迫の中断を最小限にして電気ショック前後の一連の処置を実施できる
OP:粘着式除細動パッドを用いて安全に電気ショックができる
OP:同期電気ショック (カルディオバージョン)について理解する
OP:経皮ペーシングについて理解する

❹ 輸液路・薬剤投与ステーション*

*独立したステーションではなく、シナリオステーションで指導 されることも多い
■ 輸液路確保の優先順位を説明できる
■ 心肺蘇生時に使用する薬剤の種類と投与量を理解する
■ 心電図波形チェック→電気ショック→薬剤投与の流れを実施できる
OP:骨髄路確保を体験する

❺ シナリオステーション

■ リーダーとして蘇生をマネジメントできる
■ チーム内で役割分担・相互支援ができる
■ 心電図波形に応じて治療方針を決定できる
■ 身体所見,医療情報,目撃情報などから原因を検索できる
OP:心停止が切迫した状況から心停止を防ぐことができる

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